設立趣旨


設立趣旨書

1.趣旨

   日本はこれから少子高齢化社会を迎え社会的コストの軽減が重要な課題となってくる。公共構造物の投資も、
  建設一辺倒から、今あるものを大切に維持し延命化を図ってコストのかからない社会にする動きが出てきている。

   建設白書によると、現在、道路投資の80%が建設で20%が維持管理であるが、10年後には逆転し、半分以上が
  既設構造物の維持管理になると予測している。これは、ある意味で維持管理は未来型の有望市場と見ることも出来る。

   そして、これまでの建設事業が「中央集約的な仕組み」が有効だったのに比べ、維持管理は典型的な「小規模分散型
  の事業」となり、このことは地方が主役の産業となる可能性が高いともいえる。しかし、いくら有望な市場になるとはいえ、
  それに対応できる体制や技術は、主体となるべき地方企業にはもちろん、建設産業界全体にもみられない現状がある。

   特に、建設の下請け体制に慣れた地方の企業にとっては、自分が主役になる維持管理に対応できる技術や経験は
  殆どもっていない現状にある。

   現に、維持管理事業は将来の有望市場とみて参入を試みているいくつかの建設関連企業もあるが、従来型の
  建設事業における体制と技術をそのままで参入しようとしている場合が多く、その殆どがうまくいかず手をこまねいている
  状況にある。その理由の最も大きなものに、受け皿となる企業に、新しく作る技術はあっても、作ったものを守る技術や
  体制がないこと、さらに、技術や経験を持った人材がいないことがある。

   今回、設立する「橋守支援センター」は、前述した課題に対し、有効な人材を育成すると伴に、氾濫する新しい技術を、
  企業が安心して導入できるようにNPOが第三者の立場で新技術の評価・確認および性能認定をし、その結果を公開する
  のと同時に、役に立つ技術をもつ中小企業が容易にその技術を市場に出せるように支援することも行う。

   評価作業は公開を原則とし、直接利害に関係ない客観的立場の経験と実績を持った専門家で構成する必要がある。
   当法人は、このようなことを目標に活動をしている組織で、橋の維持管理技術では日本でリーダー的な活動実績を
  持っている専門家や学識経験者によって構成された「専門家ボランテア組織」である。これらの活動は、今まではそれほど
  その必要性はなかった、また、あったとしても、日本が縦割り型の社会であったため、国は国、自治体は自治体、また、
  同じ国でも建設省と運輸省、農林省ではほとんど同じ事をしていても別々の仕組みで認定、実施されることが多かった。

   しかし、これからは、提供する民間の側にはこの垣根はないことや、また、開発した技術や専門家は社会共通の財産で
  あり、みんなで共有できる仕組みが必要になるものと思われる。特に、民間活用が進んでくるとその傾向が強まってくる
  ものと思われる。橋守支援センターはこの仕組みをNPOの仕組みで行おうとするものである。

   これらの活動を通して、社会基盤を有効に維持していく維持管理の事業化の基盤作りを背後から支援すると伴に、
  地域産業の創出と活性化と共に、自治体、JRやゼネコンのOB等高齢者の経験を活かした雇用の創出にもつながってくる
  ものと思われる。

   さらに、本法人のもう一つの重要な事業として、専門家による災害支援活動がある。これは、いつあるかもしれない
  突発的な事故や、地震や洪水などの災害時の復旧支援を、民間ボランテア活動として専門家を派遣し、被害の把握・
  応急措置・復旧対策等の支援を市民の立場から管理者と役割を分担し、一体となって復旧活動をおこなおうとするもの
  である。この活動は、地域防災だけでなく、米国や英国の災害NPOが行っているように海外における重大災害に対する
  支援活動も行う。

   このような活動を通して社会公益の増進に寄与することを目的に「橋守支援センター」を設立しようとするものである。


2 申請に至るまでの経過

   当申請法人を構成する中心メンバーは、公共構造物の維持管理に関する技術者の育成、技術基準の構築では日本で
  有数の実績を持っており、既に、JR、公団関係や自治体等の検査技術者の育成に携わっている。さらに、このメンバーを
  中心に、平成10年度から維持管理の市場作り、事業化のための有効な技術の構築と人材の育成を目標に、企業、大学を
  中心に「橋守グループ」を立ち上げ活動をはじめている。この活動の参加者はすでに7社,10大学に達しており、この経験と
  実績を活かしてこれから維持管理に携わろうとする人材や企業を育成・支援するための活動をNPO活動を通して行おうと
  するものである。

   この活動については、既に、械MC社らが中心となり活動を開始しており、平成12年度からは、中小企業総合事業団から
  「小規模事業者のための公共構造物の遠隔支援ネットワークシステムの開発」で課題対応研究開発事業の委託研究を
  受けて国の施策の一つとしてネットワーク作りにも取組んでいるところである。そして、小規模分散型である維持管理事業を
  成立させるためには、維持管理に必要になる今までにはない特殊な技術を持った人材と、特別に必要になる維持管理技術を
  共有化することを可能にして、事業における固定費を極力抑えた仕組み作りが必須条件となる。

   それには、早急に、経験豊富な人材である自治体やJR及び建設会社のOBおよびその予備軍を維持管理向けに再教育し、
  また、必要な技術の評価・確認するとともに、標準化を図る第三者専門機関の設立が必要になる。このための支援組織が
  今回の「橋守支援センター」の設立につながった。

   このことによって事業化の支援体制が出来る他、波及効果として、かつて土木構造物を中心にした公共投資に携わっていた
  自治体やJRおよびゼネコンなどの人々の退職後の再雇用市場を創出すると伴に、行き詰まり状態にある公共投資市場に、
  維持管理という膨大で継続的な新しい市場の創出を促すことにもなる。これは、これから進むであろう構造改革など社会の
  変化に対応できない人や企業に対する「セーフティネット」ともなるもので今や、特定非営利活動法人としての「橋守支援
  センター」の設立は急務と思われる。


平成13年10月25日

特定非営利活動法人橋守支援センター

設立代表者

阿部 允


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